旦那様は溺愛暴君!? 偽装結婚なのに、イチャイチャしすぎです



「やっぱり詐欺だろ、その顔」



……廊下で顔を合わせていきなりそんな失礼なことを言ってのける、津ヶ谷さんと住んでいることを除けば。



「なんですかいきなり。喧嘩売ってるんですか」



先に朝食を終え、家を出ようとしていたところなのだろう。今日もスーツがかっこよくキマっている津ヶ谷さんをじろりと睨む。

その視線に対して、彼は今日も上から目線でフンと笑った。



「いや?事実を言ってるだけだけど。そもそもお前、アニメオタクっていうよりその見た目のビフォーアフターの方が秘密なんじゃないか?」

「うるさいですよ!すみませんね、素はパッとしない地味女で!もとから顔のいい津ヶ谷さんにはわかりませんよ!」

「おいおいそんな褒めるなよ」



褒めてないし嫌味だし!

そんな会話をしながら、ふと津ヶ谷さんがいつもより早い時間に出ようとしていることが気になった。



「あれ、そういえばもう出るんですか?早いですね」

「あぁ。朝イチで取引先の売り場を見に行ってから会社向かう」



そうなんだ。朝から忙しいなぁ。

ということは、今日は駅までひとり。ここに住んでから毎日のように津ヶ谷さんとふたりで歩いていたから、なんだか不思議な感じだ。

そんなことを考えていると、津ヶ谷さんは私がなにかを考えていることに気づいたように言う。


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