旦那様は溺愛暴君!? 偽装結婚なのに、イチャイチャしすぎです
「だってお付き合いからようやく同棲、結婚ってなったんですよ?なのにお部屋は別々!イチャイチャするようすもなし!なぜですか!?小西がいるからやりづらいですか!?」
「え!?」
うっ、確かに言われてみれば……!
だってそもそも付き合った期間がないし、お互い恋愛感情がないし、だからイチャイチャする理由もないし。
けれど当然そんなことを言えるわけもない。
「奥様から『愁のことだからお見合い阻止のために偽装結婚もありえる』と言われてますが、もしやおふたり……」
ま、まずい!津ヶ谷さんのお母さんの勘がよすぎる。
けどここでバレたら私の社会人としての立場も終わる。
なんとかごまかさなければ!!
「わ、私たち普段はすごくラブラブなんです!!!」
「え?そうなんですか?」
「そう!そうなんです!小西さんが帰ったあとなんて、もうそれはそれはすごいラブラブで!津ヶ谷さんも普段はああですけど本当はすごく甘えっ子で!!」
思わず出た出まかせ。でも普段小西さんの前では王子な津ヶ谷さんが甘えっ子だなんて、信じてもらえないかもしれない。
ところが、その気持ちに反して小西さんは納得したように頷く。
「そうだったんですね!よかったです。では小西の方から奥様の誤解は解いておきますね!」
「あ、あはは……よろしくお願いします」
よかった、信じてくれた。なんとか乗り切った。
けどごめん、津ヶ谷さん……!!
バレたら怒られるかもしれない。けど本当のことがバレるよりマシだ。
そう自分に言い聞かせて素早く食事を終えると、そそくさと家を出た。