旦那様は溺愛暴君!? 偽装結婚なのに、イチャイチャしすぎです
津ヶ谷さんは最近社内で昼食をとる時は、私同様この資料室へ来る。
私だけの場所のはずだったのに、とも思うけれど、ご飯を食べてお互い素の態度で話をして、それ以外は私が涼宮くんの動画を見ていようと彼はなにも言わないし静かに本を読んでいるだけ。
なんとなく、お互いにいい雰囲気でお昼休みを過ごせているから、まぁよしとしよう。
「で?なに熱心に調べてるんだよ」
「べ、別に津ヶ谷さんには関係ないです」
「へぇ?」
夫婦らしさ、などと調べていたと知られたら、絶対馬鹿にされる。
それが読めて、私は伏せたままのスマートフォンを両手でぎゅっと握る。
けれど津ヶ谷さんはそんな私の態度ににやりと笑う。
「妻が夫に隠し事、ねぇ。そんなことがあるなら離婚だな。あーあ、お前の秘密も全部バラすしかないかなぁ」
「あっ!」
なにそれずるい!
夫婦という立場、そして脅しにも似た言葉で人の痛いところを突くなんて卑怯な。
王子どころか王様、それどころか悪魔だ。
やっぱりさっきの優しさは、人前だったから……!
そんなことを考えているうちに、津ヶ谷さんは私の手元からスマートフォンを素早く奪うと画面をまじまじと見る。
「あっ!もう、見ないでくださいよ!返してー!」
ついこの前、夫婦にもプライバシーがとか言っていたのは誰よー!
慌てて立ち上がり手を伸ばすけれど、彼は取られぬようにスマートフォンを高く掲げる。