旦那様は溺愛暴君!? 偽装結婚なのに、イチャイチャしすぎです
そう。色々調べたり考えたりした結果、私は妻として彼にお弁当を作ることにした。
正直、あんまり料理は上手くないし、小西さんと比べると全然だけど……。
それでも、私なりに彼にできることなんて、これくらいしかないから。
「毒入り?」
「本当に盛りますよ」
いくら珍しいからって失礼な!
じろ、と睨む私に津ヶ谷さんはおかしそうに笑って、お弁当を受け取る。
「うそだって、ありがとな」
そしてまるで子供を褒めるかのように、私の頭をよしよしと撫でた。
絶対子供扱いしてる……。
悔しい、けど嬉しく思える自分がいて。
どんな顔で食べてくれるんだろうとか、どんなことを思ってくれるだろうかとか。
彼の反応を想像すると、胸がそわそわと落ち着かない。
出勤して、いつものように仕事をして過ごす、午後3時すぎ。
私は誰もいない会議室で、新作のバッグのサンプルを広げて商品確認をおこなっていた。
けれど、頭の中は仕事以外のことでいっぱいだ。
お弁当、本当に大丈夫だったかな。
ウインナーは焦がしちゃったし、おかずも詰め込みすぎて形がくずれてしまった。おにぎりも大きかったかも。
玉子焼きも実家の味付けで作ったら小西さんから『甘いですね』と苦笑いされてしまったし。
あぁ、今更不安になってきちゃった……!
今日に限って津ヶ谷さんは午前中から外出で、お弁当に対しての反応が見られなかった。
不安やら期待やら緊張やら、いろんな気持ちが入り混じって落ち着かないよ……。