旦那様は溺愛暴君!? 偽装結婚なのに、イチャイチャしすぎです



「こら、桐島!仕事に集中しろ!」

「はっはいい!」



すると、突然背後から飛んできた声に、思わず『まずい!』と背筋を正す。

あれ、でも今の誰の声?とすぐ我に返り、振り向くと、そこにはおかしそうに笑いをこらえる津ヶ谷さんがいた。



「……またからかいましたね」

「なんかボケっとしてるのが見えたから。目ぇ覚めただろ?」



確かに、余計なことを考えていて仕事に集中していなかった。

反論できず不満げな顔になっているだろう私を見て、津ヶ谷さんはますますおかしそうに笑いながら会議室のドアを閉める。

そしてテーブルの上に並べられたサンプルを見ながら、私の隣に立った。



「今日は戻り早かったですね」

「あぁ。近くの店舗の売り場巡回だけだったからな」



津ヶ谷さんは新作の赤いバッグを手に取り、重さや質感、サイズ感を把握すると「そういえば」と話題を変えた。



「弁当食ったよ。ごちそうさま」



弁当、その言葉にまたギクリと不安がこみ上げる。



「ど、どうでしたか?」

「全体的に焼きすぎ、詰めすぎ。一番は玉子焼きが甘すぎ」

「えっ!やっぱりダメでした?」



不安げにたずねると、津ヶ谷さんは首を横に振る。


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