旦那様は溺愛暴君!? 偽装結婚なのに、イチャイチャしすぎです
4.シンデレラのように
初めて彼のために作ったお弁当は、お世辞にも『完璧』にはほど遠いものだった。
焼きすぎたウインナー、大きすぎたおにぎり。そして、少し焦げた、砂糖多めの玉子焼き。
だけど、そんなふうに優しく笑ってくれるとは思わなかったから。
不意にこの胸には、嬉しさがひとつ込み上げた。
日曜日の朝、太陽の明るさに目が覚めた。
けど、もう少し寝ていたい……。昨夜は深夜までダンシングプリンスのゲームをやり込んでしまって、つい夜更かししちゃったからなぁ。
たまにの休みくらい、思う存分寝ていよう。
明かりを遮るように布団を被ると、少ししてから戸が開く音がした。
「彩和、おはよう。朝だよ」
それは津ヶ谷さんの声だ。
王子口調ということは近くの部屋に小西さんがいるため、夫婦アピールをしているのだろう。
ええい、私はまだ寝ていたいんだ。ここは無視してやる。
「まだ寝ていたい?なら仕方ないか」
諦めたように言いながら、彼は部屋をあとにする……どころか近づき、次の瞬間私のベッドに入り込んだ。
「キャー!なにベッドに入り込んでるんですか!変態!」
「寝てたいなら添い寝してやるよ。嫌ならさっさと起きろ」
「起きます!起きますから!!」
私が無視していたこと、そしてこうすれば私が飛び起きることもわかっていたのだろう。
だからって女性のベッドに入り込むなんて、最低!
渋々布団をとって体を起こすと、今日はスーツではなく私服姿の津ヶ谷さんは、ふふんと笑ってこちらを見た。