旦那様は溺愛暴君!? 偽装結婚なのに、イチャイチャしすぎです
「わっ、津ヶ谷さん?」
「少し寝る。膝貸せ」
顔を庭の方へ向けて、彼はそっと目を閉じる。
これは、膝枕というやつ?
ただ枕にいいというだけなのか、甘えてくれているのか。どちらにせよかわいい。
膝に触れるふわふわとした髪がくすぐったい。
いつもの王様のような態度も、この長い睫毛を伏せた無防備な横顔も、知っているのは私だけ。
風に揺れる毛先に触れたくて、思わず手を伸ばそうとしたその時。
「……あと、ありがとな」
顔を背けたままの津ヶ谷さんが、ぼそ、と呟く。
「え?」
「さっきの言葉、セリフだとわかってても嬉しかった」
さっきのセリフって、私が津ヶ谷さんのお母さん伝えた、彼への気持ちのこと?
それに対して『ありがとう』だなんて。その言葉が嬉しくて、また胸がときめくよ。
「セリフなんかじゃ、ないです」
私の声に、顔を背けていた津ヶ谷さんはこちらを見た。
「王子じゃなくたって、意地悪だって、そんな津ヶ谷さんがいいと思ってます。あの言葉はお母さんの前だから出た言葉じゃなくて、私の本音です」
恥ずかしいことを言っているかも。そう思うと照れてしまって、私はへへと笑う。
すると津ヶ谷さんは寝転がったまま手を伸ばし、私の頬にそっと触れた。
そしてゆっくりと私の顔を下におろさせ、距離を近づける。