強気なサッカー選手の幼馴染みが、溺愛彼氏になりました
3話「突然の来訪と告白」





   3話「突然の来訪と告白」


 

 千春は、画面に映る秋文を見て少し不思議に思った。秋文が、千春の家に来ることは、ほとんどなかったのだ。「はい!今、開けるね。」と返事をしてから、すぐに玄関に向かいドアを開けた。

 秋文はオーバーサイズのジャケットに、Tシャツ、そして細身のパンツを履いていた。ラフな格好だったけれど、試合があったと先程のニュースでやっていたので、試合後の帰りなのだろうと、千春は思った。


 「秋文、どうしたの?珍しいね。」


 ドアを開けてすぐに千春は、そう笑顔で秋文を招き入れた。けれど、秋文はそこから動こうとしないで「急に悪いな。」と、仏頂面で立っていた。
 千春はドアを開けたまま彼に近づくと、秋文は何も言わずにドアを手で押さえてくれた。さりげない優しさはいつもの事で、秋文に心の中で「ありがとう」と言うと、千春は自然と微笑んでしまう。


 「おまえの鍵。返しに来た。」
 「え………そのためにわざわざ?」
 「……明日から、また試合で遠征だから。」


 そういうと、秋文はジャケットのポケットから、桜のチャームがついた鍵を取り出して千春に向けて差し出した。
 それを両手で受け取りながら、いつもとは違う秋文の雰囲気を千春は感じ取っていた。
 いつもならば、次に会う時まで千春の鍵を秋文は持ってくれていた。1ヶ月ぐらいだったけれど、千春はスペアキーを持っていたし、彼が勝手に部屋に入るとは思ってもいないので、千春は気にしていなかった。
 それに、先程から少しボーッとした視線で千春の事を見て、目が合えば逸らしてしまう。それの繰り返しだった。

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