強気なサッカー選手の幼馴染みが、溺愛彼氏になりました
「この間はありがとう。結局酔っぱらってしまって、また秋文に迷惑かけちゃったね。ごめんなさい……。」
「……あんまり飲み過ぎんな。………でも。」
「?」
「フラれたら飲みたくなるから、仕方がないだろ。」
「……うん。ありがとう………。」
いつもみたいに「甘えんな!」とか、「いい大人が酒ににのまれるなんて。」と、秋文に怒られると思っていた。しかし、秋文は普段とは違い、怒り口調でもなく、ただ優しく言い聞かせるような言葉でそう言ったのだった。
あまりにも違う様子に千春は驚きながら、まじまじと彼を見つめてしまう。
すると、千春の表情と視線に気づいたのか、ハッとした表情を見せ、そして何故か小さく息を吐いた。
「それ、渡したかっただけだ。じゃあな。」
「……あ。ちょっと待って!」
千春は、すぐに帰ろうとする秋文のジャケットの裾を掴んで引き留めてしまった。
何か違う気がした。いつもの秋文ではない。そう思ったら勝手に手が動いてしまった。
千春は、きっと秋文は何か別の用事があって、ここに来たと思ったのだ。
「……なんだよ。何か用か?」
「えっと、あのー………あ、そうだ!この間のお詫びに夕飯食べていかない?昨日の残り物だけど……。もしよかったら、でいいんだけど。」
「…………わかった。」
秋文は、少し考えた後、了承の返事をして部屋の中に入ってくれた。
ドアを閉めると、ふわりと風が入り秋文からシャンプーの香りがして、千春は思わずドキッとしてしまった。
「何だよ?」
「え?なんか、シャンプーのいい香りがしたから。」
「………試合終わりだからシャワー浴びたばかりなんだ。」
素っ気なくそういうと、秋文はさっさと千春の部屋の中に入ってしまった。
「少し散らかってるけど、ソファーに座ってゆっくりしてて。試合終わりで疲れてるなら寝ててもいいよ?」
「大丈夫だ。そこまで疲れてない。」
「そっか。じゃあ、ゲームする?」
「おまえの好きな女向けのゲームを俺がすると思うか?」
「………だよね。じゃあ、テレビでもいいし、本や漫画本もあるから。急いで作るね。」
秋文は、付いていたテレビをそのまま見ることに決めたようで、ソファ座ってテレビを眺めていた。