強気なサッカー選手の幼馴染みが、溺愛彼氏になりました
そして、秋文は今、スペインのチームで活躍をしている。海外選手としては異例である、司令塔としてチームに入り試合に出ていた。
アメリカでも、秋文の活躍を見ることがあり、テレビに映ると、目が離せなくなってしまっていた。
それでも見足りないので、日本のスポーツテレビを見たり、ネットで検索して見てしまう日々が続いていた。
異国の地で、様々な刺激を受けながら新鮮な毎日を過ごしているうちにあっという間に2年が過ぎようとしていた。
日本に帰ることはほんどなく、帰ったのは2回ぐらいで、全て仕事での帰国だった。
千春の勤めている会社は日本の会社のため、アメリカの職場でも日本人が多くいた。
そのため、簡単な日本語はアメリカの人にも通じるのでやりやすかった。
日本人同士で日本語を話すと、秘密の話をしているように感じられるかなと、始めは気を使っていたけれど、それは杞憂だったようだ。
昼休みが終わり会社に戻ると、すぐに日本人のスタッフに声を掛けられた。
「世良さん!ちょっといいですか?」
「塚本さん。どうしましたか?」
塚本尚は、年上だったけれど同じ時期にアメリカに異動になった同期の男性だ。
背が高く、黒髪に切れ長の目、そして色白の肌。頼れる先輩肌で、気さくな性格は花巻先輩のようだった。
そして、見た目は何処と無くだけれど、秋文に似ているように千春は感じてしまい、会う度に緊張してしまってた。
「前に話した資料って、もう日本からメール来てる?」
「はい。今、塚本さんのPCに送りますね。」
「ありがとう。確認するね。………塚本さんがいつもしてるネックレス、これって桜だよね?」
「そうです。名前に春があるので、自分らしくてお気に入りなんです。季節は関係ないのですけど……。」
「ううん。似合ってると思うよ。春になったら、ワシントンの全米桜祭りっての行ってみない?」
「ありがとうございます。ぜひ行ってみたいです!」
塚本は、桜の花びらのネックレスを指差して、そう誉めてくれた。
大切な人から貰った物を誉めてくれるのは、とても嬉しくて思わず、緊張が溶けて笑顔が溢れてしまう。
すると、塚本は少し驚いた顔をして、ボーッと千春を見つめていた。
「あの、塚本さん?どうしましたか?」
「………いや、何でもないよ。ぜひ、行こう、桜祭り。」
「はい!会社の人も誘ったら喜んでもらえるでしょうねー。」
「………あぁ、そうだね。」
何故か苦笑しながら「資料のメールよろしく。」と、言い残して塚本は自分のデスクに戻っていった。