強気なサッカー選手の幼馴染みが、溺愛彼氏になりました
「でも、もし寂しくなったら、俺を頼って欲しいな。一緒にご飯に行ったり、話しをするぐらいならいいよね?塚本さん、お酒好きでしょ?」
「………はい。そうですね………じゃあ、ぜひ相談させてください。」
千春は何故か、微笑んでそんな言葉を洩らしていた。
自分でもそんな事を言うとは思わなかったのだ。気づいたら、塚本に向かって了承の言葉を伝えていた。
「ありがとう!楽しみにしてるね。………でも、俺が好きって言ったことも忘れない欲しいな。……じゃあ、また明日。」
塚本は最後の言葉を真剣な口調で千春に伝えた。目を細めて、千春の頬を片手でそっと撫でた後、塚本は千春の前から去っていった。
部屋に入り、呆然と立ち尽くしているうちに千春は気づいた。
やはり、塚本は秋文に似ていると思ったのだ。
「頼っていい。」という塚本。
それは、かつて千春に「利用していい。」と言った秋文によく似ていたのだ。
「だから、聞きたくなかったのに………。」
千春は玄関で靴を履いたまましゃがみ込み、体を丸めて泣いた。
頭の中はぐじゃぐじゃで、何を考えればいいのかわからなかった。
「助けてよ、秋文…………。」
弱々しく嗚咽混じりで呟いた言葉は、異国の夜の静けさに消えていってしまった。