強気なサッカー選手の幼馴染みが、溺愛彼氏になりました
「………世良さん。泣いているの?」
「ご、ごめんなさい………。イヤとかじゃなくて、あの………私………。」
「…………うん。」
先ほどまで焦って怖い表情を見せていた塚本の顔が、少しずつ落ち着きを取り戻していた。
それは、千春が泣いたことで元に戻ったのかもしれない。それとも、自分の気持ちを知りたいと思っていたのかもしれない。そんな風に千春は思った。
「塚本さんに、優しくしてもらって秋文の事忘れたいって思ってました。……塚本さんと一緒なら、楽しいし、甘えさせてくれるし、優しくしてくれるし、幸せになれるって思ってたんです。」
「うん………。」
「……でも、さっき新聞で秋文の名前を見ただけなのに、一気に愛しさが体から溢れてきて涙が止まらなかった。私、まだ秋文の事が好きなんだって………ただ、気持ちを隠してただけなんだってわかったんです。彼にふられるのが怖くて、逃げてただけなんです。………秋文に彼女がいたとしても、私はまだ、秋文が好きなんです。」
塚本に握られていた腕は、いつの間にか解放されており、千春は首元にある桜のネックレスを片手で握りしめた。冷たいはずの金属なのに、ほのかに暖かさを感じた。
「はぁー…………もう少し早く君に迫っていれば、成功したのかな。………残念だよ。」
「ごめんなさい。………いつも頼ってばっかりで。」
「もともとダメ元だったし。やっぱり一色選手には敵わないねー。」
「そんなことないです。秋文は俺様だし、思ってること隠したりするし……。」
「だけど、好きなんでしょ?」
「………はい。」
千春が困ったように頷くと、塚本は優しく微笑み返した。やはりこの人は、本当に素直で可愛い人だと千春は思った。
「でもね、さっき世良さんが俺といて楽しいし、幸せになれるって言ったでしょ。あれ、すごく嬉しかったよ。俺も君といて楽しかったから、それは本当なんだって思った。」
「………本当です。だから、塚本さんと一緒にいたんだと思います。」
「ありがとう。千春ちゃん?」
嬉しそうに、そして初めて塚本が千春を名前で呼んだ。
本当なら責められることをしたはずなのに、彼は微笑んでお礼を言ってくれる。
彼の優しさが伝わってきて、また涙が出そうになった。