強気なサッカー選手の幼馴染みが、溺愛彼氏になりました


 
 『よかった。じゃあ、明日待ってるから。』
 「うん。行くね。」
 『………おまえの声聞けて安心したよ。じゃあな。』


 そう言うと、秋文は電話を切った。
 秋文の優しい言葉が耳にはいると、千春はそれだけで体が温かくなって、安心してしまう。


 「私もだよ。秋文。」
 

 もうとっくに切れてしまった電話口で、千春は微笑みながらそう呟いた。


 彼の声を聞くだけで、こんなにもホッとしてしまう。そして、すぐにでも会いたいと思ってしまう。
 しつこいぐらいに、まだ彼が好きなのだ。 
 それを実感してしまった。

 この気持ちには嘘はもうつけない。
 明日、どんな結果が待っているとしても、彼に今の気持ちを伝えよう。
 

 そう決めると涙は、止まっていた。 
 涙を手で拭き、そしてバックを持った。


 「あーお腹空いたなー。食べなきゃ元気でないよね。」


 空元気かもしれない。
 けれど、今は彼の声を思い出せば笑顔になれるのだ。
 無理矢理作った笑顔だったけれど、千春は微笑んで部屋を出た。


 千春の表情に、もう涙はなかった。




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