強気なサッカー選手の幼馴染みが、溺愛彼氏になりました
秋文の部屋の前で、軽く息を吐いてからドアを開けた。
玄関から懐かしい雰囲気、そして香りがして千春はジーンと感動してしまう。
「お邪魔します……。」
数年前は、秋文がいない部屋に何回も入っていたのに、やはり緊張してしまう。
乱雑に置かれた靴、リビングに置きっぱなしになっている飲みかけのペットボトル、リビングのソファに置いてある部屋着。
全てが秋文を感じさせるものばかりで、千春はうるうるしてしまう。懐かしさから、ゆっくりと部屋を見て回る。寝室のとなりにある部屋は千春の私物が置かれていた。今は、何か置いてあるのだろうか。今の彼女の部屋になっているのか……それを考えると、その部屋を開けることは出来なかった。
寝室は、ドアが開いていた。覗き込むと、秋文が起きたままのベットになっていた。
カーテンは半分だけ開いていた。
「秋文………寝坊したのかな。」
部屋の様子から千春は、そう思ってしまいクスリと微笑んだ。
家主がいない寝室に入るのは申し訳なかったが、千春はこっそりと部屋の中に入った。
ベットの布団を整えてからベットの脇に座る。
すると、サイドテーブルに置かれているものに気づいた。それは、見覚えがあるものだった。
「………これって、私が書いた手紙………。」
千春はおそるおそる小さなメッセージカードと、少しくしゃくしゃになった手紙を手に取った。