強気なサッカー選手の幼馴染みが、溺愛彼氏になりました




 3年前、泣きながら書いた手紙。

 今、見返して見ると、自分勝手だなと思ってしまう。秋文の夢だと勝手に決めつけて勝手に好きな人から離れてしまったのだ。
 秋文が新しい彼女を作ったとしても不思議ではない。

 それなのに。


 「なんで、こんな手紙………まだ持ってるの?こんなところに置いて……。」


 ベットはいつも使うところ。毎日目に入るもの。
 大切そうに置いてある手紙を見て、秋文の気持ちが伝わってくるようだった。

 
 「わかんないよ……。どうして、こんなことしてるの?」


 他に彼女がいるとしたら、そんなところに置いておくはずがない。
 けれど、この部屋には女の人がいた。
 頭の中が混乱してしまう。


 ギュッと手紙を抱きながら体を丸めると、ふんわりと秋文の香りがした。
 その香りはベットからだと気づく。

 ゆっくりとベットに横になると、彼が隣にいるような気がするほどに、懐かしい匂いがした。
 この香りが大好きで、安心するのだ。

 手紙を手にしたまま、目を瞑る。
 こんなことをしている暇はないのに、体の力が抜けてしまった。
 千春は寝不足と時差ボケのせいで、うとうととしてしまう。


 「秋文………待ってなきゃ………。」


 気持ちはそう思っているのに、頭は働かず、瞼も閉じていく。体が言うことをきかないのだ。

 千春は、そのまま久しぶりに彼の香りに包まれてすぐに眠りについてしまった。
 彼に抱き締められているような感覚を覚えながら。




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