強気なサッカー選手の幼馴染みが、溺愛彼氏になりました




 ★☆★




 秋文は、車から出ると早足で歩いた。
 走るのは良くないと東に止められていたので、それは我慢をする。
 

 「検査だけで、リハビリするとは聞いてなかったぞ。」


 今日は総合病院での検査だけと聞いていた。が、検査が終わった後は簡単なリハビリが待っていた。
 断ろうとしたけれど、さすがにそれも出来ずにしてもらうと、終わる頃にはお昼を優に過ぎていた。

 エレベーターに乗りながら、秋文は一人で焦っていた。


 きっと千春は待っているだろう。
 不安になっていないか。もう帰ってしまってはいないか。
 不安になりながらスマホを見つめるが、そこには何も連絡が来ていない。
 千春から連絡が来るはずもないのは、もうわかりきっている事なのに、どうしても気にしてみてしまうのだ。


 
 鍵を開けて部屋に入ると、玄関に見慣れないパンプスが置いてある。
 千春はまだ部屋にいるのだと安心して、秋文は息を吐いた。
 久しぶりに会う千春。同じ部屋にいると思うと、緊張し胸が高鳴ってくる。


 「悪い……、遅くなった………。千春?」


 リビングにいると思い、冷静を装って声を掛けたが、返事もなければ彼女の姿も見当たらなかった。


 「どこにいったんだ?」


 玄関に靴があったので、部屋の中にいるのはわかっていた。
 けれども、彼女がいないのだ。
 少し不安になりながら、キッチンや奥の部屋を見るがいなかった。
 残ったのは寝室だけだった。

 そこにゆっくりと足を踏み入れる。


 すると、ベットで丸くなってスヤスヤと眠る千春の姿があった。
 近づくと、ずっと会いたかった彼女の顔があり、秋文は嬉しくなってしまう。
 そして、今でも安心してここで寝てくれる事さえもいとおしかった。

< 150 / 166 >

この作品をシェア

pagetop