強気なサッカー選手の幼馴染みが、溺愛彼氏になりました
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秋文は、車から出ると早足で歩いた。
走るのは良くないと東に止められていたので、それは我慢をする。
「検査だけで、リハビリするとは聞いてなかったぞ。」
今日は総合病院での検査だけと聞いていた。が、検査が終わった後は簡単なリハビリが待っていた。
断ろうとしたけれど、さすがにそれも出来ずにしてもらうと、終わる頃にはお昼を優に過ぎていた。
エレベーターに乗りながら、秋文は一人で焦っていた。
きっと千春は待っているだろう。
不安になっていないか。もう帰ってしまってはいないか。
不安になりながらスマホを見つめるが、そこには何も連絡が来ていない。
千春から連絡が来るはずもないのは、もうわかりきっている事なのに、どうしても気にしてみてしまうのだ。
鍵を開けて部屋に入ると、玄関に見慣れないパンプスが置いてある。
千春はまだ部屋にいるのだと安心して、秋文は息を吐いた。
久しぶりに会う千春。同じ部屋にいると思うと、緊張し胸が高鳴ってくる。
「悪い……、遅くなった………。千春?」
リビングにいると思い、冷静を装って声を掛けたが、返事もなければ彼女の姿も見当たらなかった。
「どこにいったんだ?」
玄関に靴があったので、部屋の中にいるのはわかっていた。
けれども、彼女がいないのだ。
少し不安になりながら、キッチンや奥の部屋を見るがいなかった。
残ったのは寝室だけだった。
そこにゆっくりと足を踏み入れる。
すると、ベットで丸くなってスヤスヤと眠る千春の姿があった。
近づくと、ずっと会いたかった彼女の顔があり、秋文は嬉しくなってしまう。
そして、今でも安心してここで寝てくれる事さえもいとおしかった。