強気なサッカー選手の幼馴染みが、溺愛彼氏になりました



 「ありがとう、千春。話してくれて。……そして、俺の事を考えてくれて。」
 「えっ………なんで、お礼なんて……。」


 驚いて秋文の顔を見上げると、そこには昔と変わらない優しい顔で自分を見る、秋文が微笑みがあった。
 千春は久しぶりに見る秋文の笑顔に、ドキッとしてしまう。


 「確かに俺はおまえがいたら、スペインに行こうとは思わなかった。お前が寂しがるって思ってたけど………実際は俺がお前と離れるのが寂しかったんだ。」
 「………そんな、こと………。」
 「せっかく自分の彼女になってくれたんだぞ。ずっとずっと好きだった千春を手に入れたのに、手放す事なんて考えられなかった。もちろん、スペインに連れていくことも考えたけど、お前は仕事も好きだっただろう?だから、おまえに相談もしないで、勝手に諦めてたんだ。」

 
 秋文は申し訳なさそうな顔をして、千春を見つめたまま話しを続ける。
 秋文の気持ちを初めて知り、千春は驚きと戸惑いで言葉が出なかった。


 「だから、千春が俺のために行動してくれてよかったと思ってる。それは………確かにビックリしたし、おまえに嫌われたからいなくなったっとも思った。けど、きっと千春は俺がスペインで頑張れば応援してくれるって思ったんだ。それにフラれたとひても、もう1回おまえを迎えにいくつもりだったしな。」
 「…………秋文………私………。」
 「ありがとう。俺に夢を叶えさせてくれるチャンスをくれて。スペインでサッカーをやってみて、すごい勉強になったし、俺がまだまだだってこともわかった。それに、すごく楽しかったんだ。………また日本代表にもなれたしな。それも千春のおかげだよ。おまえが彼女で本当によかった。………俺の見る目は確かだろ?」


 そう言って微笑んでから、秋文はまた千春の頭を撫でた。今度は少しだけ乱暴にぐしゃぐしゃと。
 それが彼の照れ隠しだとわかり、千春はされるがままになりながら、ジッと彼を見つめた。



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