強気なサッカー選手の幼馴染みが、溺愛彼氏になりました
「何やってんだよ。早く行くぞ。」
「うん………秋文っ!」
千春は、秋文の隣まで駆け寄ると、秋文の顔を見上げた。
「どうした?」
「ただいま、秋文。」
「………おかえり。待ってた。」
恥ずかしそうにしながらも、千春を見て微笑みそう言ってくれる秋文がいとおしくて、千春は秋文の腕に飛びついた。
それを嫌な顔もせずに許してくれる彼を見つめながら、秋文の体温を感じながら、千春は秋文の部屋へと帰る道をドキドキしながら歩いた。
「お邪魔します………。」
「おまえの家なんだから、違うだろ。」
「あ、そうだよね。ただいま………。」
数ヵ月ぶりの秋文の部屋。
秋文らしい、生活感が漂うこの部屋が、これからは千春の部屋にもなるのだ。
「荷物、おまえの部屋に置くぞ。」
「あ、ありがとう。また、あの奥の部屋使っていいの?」
「あぁ……これから、いろいろ揃えていこう。」
「うん。そうだね。」
アメリカに行く時に置いていたものは処分したので、ガランとした空き部屋になっているはずだ。
どんな部屋にしようか、そんな想像は帰国する前によく考えていた事だった。
そんな風に思いながら、その部屋に入る。
と、そこは全く違う部屋になっていたのだ。
「え…………。これって………。」
そこにあったのは、空き部屋ではなく、どこかのモデルハウスのような立派な家具や小物が置かれていたのだ。
木の香りがする木目調の家具。そして、所々には緑やピンク色の小物があった。
花瓶にはもう見れないと思っていた桜の小枝があり、綺麗な花が咲いていた。
「おまえの部屋、こんな感じだっただろ?だから、準備しておいた。……ダメだったか?もし、気に入らなかったら、変えてもいい。」
「そんなことないよ!とっても素敵………可愛いよ。秋文、ありがとう。嬉しい。」
半分泣きそうになりながら、千春はお礼を言うと、秋文は頬を赤くして照れながら微笑んでいた。