強気なサッカー選手の幼馴染みが、溺愛彼氏になりました
その次の日の昼間に、秋文から連絡が来ていた。今日の夜に会えないか、という誘いのメールだった。
すぐには返事が出来ず、しばらく考えた後に「残業があるので、今日は会えない。」と返信をした。
昨日の事が頭から離れず、冷静に彼と話せる気がしなかったのだ。
残業なんて、本当はなかった。
嘘をついてしまった事に罪悪感を感じながら、千春は帰路についた。
すると、千春のマンションの前に見覚えのある車が停まっていた。
昨日も見た、あの車。助手席にあの女の人が座っていた、秋文の車だった。
見つけた瞬間に、こっそりと逃げ出そうかとも思ったけれど、すでに遅く運転席のドアが開いた。
「なんだよ、残業じゃなかったのかよ。」
「………なんで、ここにいるの?」
「おまえが帰ってくるまで待つつもりだった。」
「……そう、なんだ。……ごめんなさい、嘘ついて。」
罪悪感から、秋文の顔を直視出来ずにうつむいたまま彼に謝った。
千春にとって、秋文は大切な友達だ。
何があっても嘘をつくべきではなかった。話をしなければと、彼の顔を見た瞬間に後悔の念に駈られてしまったのだ。
「気にしてない。とりあえず、車乗れ。」
秋文は、助手席のドアを開け、千春に車に乗るように促した。