強気なサッカー選手の幼馴染みが、溺愛彼氏になりました



 「試合始まる前から先輩たちの事見つけてたんですけど、それを、秋文先輩に伝えたんですよ!試合見に来ました!ふたりも見かけました!って。そしたら、一色先輩から、こんな返事がきたんです。」
 
 静哉が見せてくれスマホには、ふたりのやり取りが表示されていた。
 そこには、「先輩の好きな千春先輩と、立夏先輩発見しました!今からナンパしちゃいますねー。」と、静哉が送っており、その返信はすぐに秋文から送られていた。


 「千春に手出したら、今すぐそこに行ってぶん殴るから覚悟しておけ。あいつは俺のもんだ。おまえは、俺のサッカーでも見て大人しくしとけ、後輩。」


 乱暴な言葉だったけれど、千春はそのメッセージに釘付けになってた。
 秋文は有名な人だから、恋愛話は他の人に黙っているのだと勝手に思っていた。いくら仲のいい後輩だからと言って、バラさないと思っていた。

 けれども、自分の恋人は千春だと思わせるようなメッセージを送ってくれていた。
 その事が、千春は嬉しかったのだ。


 「秋文……こんな事送るなんて………。」
 「……先輩、幸せそうですね。目がうるうるしてて、とっても愛しそうにしてるのわかりますよ。」
 「え、そうかな………?」


 千春は真っ赤になった頬を両手で隠しながらそういうと、静哉は「はい!」と笑った。


 「ずっと一色先輩が片想いしているのは気づいてたんで。憧れの先輩が、好きな人と恋人になってて安心しました!おめでとうございます。」
 「ありがとう。静哉くん。」

 
 後輩まで、秋文が自分に片想いをしていると気づいていたとは、千春は驚き、自分の鈍感さにあきれてしまった。けれども、こうやって祝福されるのは幸せな事だと思った。





 その後、立夏も合流して3人で観戦するために自由観覧の場所へと移動して、一緒に応援をした。

 途中で、立夏が静哉のスマホから「千春さんにナンパしちゃいました。」と勝手にメッセージを送信して、静哉が「本当に殴られちゃいますよー!」と半泣きになってしまう事件が起こったけれど、高校生に戻ったようで、楽しく過ごすことが出来た。


 そして、千春は秋文のプレイを頭に焼き付けようと、彼の真剣な表情をずっとずっと見つめ続けた。




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