強気なサッカー選手の幼馴染みが、溺愛彼氏になりました
12話「お揃いの」
12話「お揃いの」
試合が終わった後。
千春は、立夏と静哉に頼んで、もう一度グッツ売り場へと向かった。
秋文の特設はまだ多くの人がいたので、秋文のチームの物が置かれている場所へと向かった。
ユニフォームやタオル、応援グッツなど沢山の商品が並んでいる。そこを眺めていると、千春はひとつ気になるものを見つけた。
それは、ユニフォームの形をしたアクリル製のキーホルダーで、しっかりと背番号と名前があった。背番号10を探すと、秋文の物を見つけて思わず手を伸ばした。
これぐらいならば、照れくさくないかなと思い、それをレジに持っていこうとした。すると、その売り場に「名前入れます!」と書いてあるのを発見した。
このキーホルダーのフニフォームには12の背番号もあった。サッカーでは12番目の選手はサポーターの事を意味していると、出から聞いたことがあった。その12の背番号のキーホルダーに、自分の名前を入れてくれると、そこには書いてあった。
それを見て、千春にはある事を思いついてしまい、自分の名前を入れようかと迷っていた。
レジに行く前に店内をうろうろとしていると、心配した立夏と静哉が千春に声を掛けた。
「何探してるんですか?」
「あ、静哉くんと立夏。ごめんね、待たせちゃって。」
「それ、買うの……?」
「うん……どうしようかなって思ってて。」
千春の手の中にあるのは、秋文のユニフォームと12番のユニフォーム。それは見て、2人はすぐに意味に気がついたようだった。
「俺だったら嬉しいですよ。そういうお揃い。」
「付き合い始めなんだし、そういうのからお揃いなら大丈夫でしょ。」
「……ふたりとも、よくわかったね。」
千春は驚いてふたりを見ると、どちらもにっこりと笑い、購入するよう勧めてくれた。
秋文も喜んでくれる。そう思い、千春は買うことに決めたのだった。