強気なサッカー選手の幼馴染みが、溺愛彼氏になりました
千春と立夏、そして静哉と一緒に夕飯を食べ、自宅へ帰ろうとしている途中で、スマホが鳴った。
連絡を待っていた相手。もちろん、秋文だった。
「試合、お疲れ様。」
『悪い。ミーティング長引いて連絡遅くなった。今日試合に来てたんだよな?今どこにいる?』
「みんなでご飯食べて、帰るところだよ。」
『そうか……。千春に会いたいんだけど。少し時間貰えないか?』
「………うん。大丈夫。」
『すぐ向かうから。』
一瞬、彼の悲しそうな声が聞こえたけれど、会えるとわかると、すぐ声が変わった。
そんなに喜んでくれるのが、嬉しくて人通りが多いところなのに、一人でニヤつてしまう。
秋文と待ち合わせしたのは、いつもの会員制のカフェだった。
千春は、鞄の中にある、お揃いキーホルダーが入った袋を見つめる。まさか、今日のうちに渡せるチャンスが来るとは思っていなかったので、今から緊張してきてしまう。けれども、秋文とのお揃いを叶えるためには、自分が渡さなくてはいけないのだ。
「よし、頑張ろうっ。」
雑踏の中で、すぐに消えてしまう小さな声で、一人そう呟くと、千春はカフェに急いで向かった。
「悪い。待たせたっ。」
千春がカフェに来た30分後ぐらいに、秋文は焦った様子で、千春がいた個室に入ってきた。
「秋文、お疲れ様………っ!どうしたの?」
秋文は部屋に入ってすぐ、ソファに座っていた千春を強く抱きしめた。
彼からほんのりシャンプーのいい香りが漂ってきて、千春は思わずドキッとしてしまう。