強気なサッカー選手の幼馴染みが、溺愛彼氏になりました
仕方がないと思いながらも、やはり寂しいと思ってしまう。
せっかくの平日のお休みだからと、買い物や食事をしようとも思ってたけれど、そんな気分にもならなかった。
いつものように部屋の掃除をしたり、本を読んだり、バースデーメールの返信をしたりしているうちに、あっという間に夕方になってしまっていた。
「夕飯作らないと………秋文は、夜遅いのかな。忙しいみたいだけど、ご飯食べてるのかな。」
秋文の家には行ったことがなかったけれど、彼が料理の話をしているところは見たこともなかった。秋文のことだから、外ですませているんだろうな、と思うと、大丈夫なのかと心配になってしまう。
簡単な料理を持っていったら、秋文は喜んでくれるだろうか。
そう考えてしまうと、千春は彼に会えると思うと、居ても立ってもいられなくなってしまった。
千春はメニューを決め、近くのスーパーで食材を買い込んで、料理を始めた。
思った以上に作り込んでしまい、家にあるタッパー全てが埋まってしまった。作りすぎてしまったけれど、多かったら持って帰ればいい。それよりも早く秋文に会いたかった。
大きい袋に料理を詰め込んで、急いで身支度を済ませる。秋文と1日デートをする時に着ようと思っていた、花柄のワンピースにカーディガンを羽織り、お気に入りの口紅を塗る。
秋文は外見は気にしなくて言いと言ってくれたけれど、それでも可愛い彼女でいたいと思う。それはきっと、秋文に「可愛い。」と言って欲しいから。
秋文の自宅は、ここから電車に乗って行けば1時間もかからない所にある。
住んでいるマンションは知っているので行けば会えるだろう。
それぐらいの気持ちで家を出た。
「少し重いな………詰めすぎたかなー。」
歩きながら袋の中のタッパーを見る。
手が痛くなってきていたけれど、そんな事は我慢出来た。
自分の誕生日だから、彼に会いたい。
けれど、彼が会いに来てくれるのを待っているだけでは、前の自分と同じ。
自分が秋文に会いたいから、会いに行く。
それを、秋文にも知ってもらいたかった。