強気なサッカー選手の幼馴染みが、溺愛彼氏になりました
「うまいな。これ全部食べれそうだ。」
「嬉しいけど、全部は食べ過ぎだよ。ケーキもえるんだよ?」
「あぁ、そうだったな。」
リビングのソファの方が座りやすいから、と二人で並んで遅めの夕食を食べていた。
秋文は着替える時間も惜しいと言って、スーツ姿のまま食事をしていた。(ネクタイを緩めて、襟元のボタンも外していた。)
秋文は、「おいしい。」と千春が作ったご飯を褒めながら、たくさん食べてくれていた。本当に何も食べていなかったのか、持ってきた料理は、ほとんど残らなかった。さすが、スポーツ選手は体を動かしているから、よく食べると感心してしまった。
ケーキは大好きなチーズケーキだった。
秋文が淹れてくれたコーヒーを飲みながら、甘いケーキを味わっていると、秋文が「そろそろ日付変わっちゃうな。」と、言いながら、スーツのポケットから、かわいく包装された小さな箱を取り出した。
「改めてだけど、誕生日おめでとう。」
そう言って、千春の前にその箱を差し出した。千春は、両手でそれを受け取った。
「ありがとう、秋文。……開けてみてもいい?」
「あぁ。」
赤色のリボンを取り、ゆっくりと箱を開けると、そこには、桜の花びらの形をした宝石がついたネックレスがあった。ゴールドの鎖に、ピンク色の宝石が花びらのようにカットされていた。光を受けて、キラキラと輝いている。
「これって、one sinの!?こんな高価なもの……。」
「おまえのために選んだんだ。受け取ってもらわないと困る。」
「……ありがとう。すごく綺麗……。あ、今つけてみてもいい?」
「あぁ。つけてやる。」
嬉しそうにする千春を見つめる秋文の顔はとても穏やかで、プレゼントを貰った千春よりも幸せそうな表情だった。「後ろ向け。」と言われ、千春は緊張しながらも彼にネックレスをつけてもらう。首元に輝く桜の花びらを見つめる。
「どう、かな?」
「可愛い。とっても。」
「あ、ありがとう。……とっても可愛いよね、この桜。」
照れてしまうのを誤魔化すように、そう言うとそれがわかったのか、秋文はくくくっと笑っていた。
忙しい中、自分のためにプレゼントを選んでくれた。それが、とても嬉しくて千春は、何度も桜を見つめてしまう。