強気なサッカー選手の幼馴染みが、溺愛彼氏になりました
嬉しそうに笑いながらそう言いながら、テーブルにあったスマホを持ち、何かを操作する。そして、千春に何かの画像を表示して千春に見せてくれた。
そこには、真剣な表情でボールを蹴り、まっすぐ前を見る秋文の写真があった。いつもユニフォームとは違う、見たことがないジャージだった。
「このサッカーしてるの、秋文だ。もしかして、このジャージが……。」
「あぁ。花巻先輩が作ったものだ。先輩からお願いされた事は、俺が商品のモデルになる事だった。けど、もう1つ新しいことも決まったんだ。」
「………新しいこと。」
千春は彼が言った新しいことの検討がつかなかったので、首を傾げながら秋文を見た。
すると、少しだけ微笑んでから、秋文は小さく息を吐いて言葉を紡いだ。
「俺が会社を起業する事にした。」
堂々と、そして誇らしく口にしたその言葉を聞いて、千春は驚いてしまい、言葉が出なかった。
彼が忙しくしていた理由はこれだったのかと、すぐに理解出来た。
けれど、彼がいつも悩んで疲れていたのは、これが理由なのかと思うと、少し疑問だった。
起業する話をする秋文は、とてもイキイキとしているのだ。それなのに………。そんなモヤモヤを感じながらも、千春は彼の嬉しそうな言葉と表情を見ると、自然と微笑みが移ってしまった。
「秋文が起業………すごい、ね。驚いた、………あっと、おめでとう!」
「まだまだ始まってもいないけどな。」
「だから、忙しそうだったんだね。でも、話してくれてもよかったのに。」