強気なサッカー選手の幼馴染みが、溺愛彼氏になりました
「恥ずかしいけど、一緒に入るの嬉しいね……。」
「何で恥ずかしがるんだ?いつも裸なんて見てるのにな。」
「………こんな明るいところでは恥ずかしいの!!」
玄関先で彼に熱を与えられ、そのまま汗を流すために2人でお風呂に入る。2人で入るのは初めてでドキドキしていたけれど、後ろから彼に抱き締められるように入ると、いつもより気持ちよくて体の力が抜けてしまった。彼に寄りかかるようにお湯に浸かると、秋文は嬉しそうに笑いながらお湯の中でてを握ってくれた。
「でも、俺はおまえと入るの好きだけどな。」
「え………、そうなの。」
「なんか、いつもよりリラックスできてつかれが飛ぶ気がする。」
「………そっか。じゃあ、恥ずかしいけどまた入ろう?」
「あぁ。あぁー、やっぱりおまえといると安心するんだ。離れたくない。」
「うん………私も離れるの寂しいよ。」
「離さないけどな。ずっと、おまえは俺の近くにいるんだ。」
彼の言葉を聞いて心が温まるのと同時に、探していた答が見えた気がした。
答えはとても単純で、そして自分も同じ思いだったのだと気づいた。
秋文と離れたくない、会えない日は寂しくて会いたくなる。それは、秋文も同じでいつも会いに来てくれた。それが嬉しくて幸せすぎて、会えない日を考えるのが怖くなってしまった。
秋文が夢を諦めているのが、自分のせいだと気づいたのだ。
自分の拙い考えと行動に怒りと情けなさを覚え、そして切ない気持ちに襲われた。
私が秋文の夢を潰している。
それを理解して泣きそうになる顔を必死に隠すためにお風呂のお湯を手ですくって顔にかける。
温かいお湯と涙が混ざってお風呂に消えていくのを、千春は呆然と眺め、1つの考えが生まれたのだった。