強気なサッカー選手の幼馴染みが、溺愛彼氏になりました
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先輩にフラれてから、1週間が経った。
憧れだった先輩の事はなかなか忘れられなかったけれど、彼からの連絡が来るわけでもない。
そんな泣きそうな毎日だったけれど、千春は少しずっと元気になり、前を向き始めていた。
しばらく恋愛はいいと思っていた千春だったが、好きな漫画を読んだり、ゲームをしていると、やはり恋愛がテーマになっているものも多く、千春はすぐに「ドキドキしたいな。」と思うようになってきていた。
けれども、次は中身を見てくれる人にしなさいと、四季組の3人には言われており、なかなか行動に移せずにいた。
男友達は、秋文や出だけだったし、他に知り合いとなると、秋文たちの後輩ぐらいだった。
「付き合ってから中身見てくれるのじゃだめなのかなぁー?」
自分の部屋で1人、本を読んでいたが、考え事が多すぎて全く集中出来なくなってしまった。
そのため、本を閉じてテレビをつけた。休日の夕方とあって、特に見るものもなくボーっとニュースを眺めていると、スポーツの特集が流れ始めた。
すると、テレビには「一色秋文選手」と大きく名前が出されており、友達である彼がサッカーの試合に出ている時の映像が出されていた。
「また、秋文出てる。人気だなー。」
秋文と出は、プロサッカー選手だった。
千春が進学した高校は、サッカーの名門校だったようで、2人はスポーツ推薦で入学していた。
そこでも有名な選手で、出が部長でゴールキーパー。千春は、MFで司令塔をやっていたらしい。
千春はサッカーのルールも知らなかったけれど、四季組の4人でよくプロサッカーチームの試合を見に行っていたので、その時に出に優しく教えてもらっていたのだ。
秋文は大学在学中に、出は大学卒業後にプロのチームに入っていた。日本代表にもなったこともあり、出は今もその一員だった。秋文は、今回は残念ながら選抜落ちしてしまっていたけれど、プロチームで活躍しているようなので、来年は期待できるのでは、とニュースでやっているのを見ていた。
秋文は、サッカーの他にもCMやスポーツ番組にも出ていた。秋文の性格からして嫌がると思っていたので、千春が理由を聞いてみると「稼げるから。」と何とも現実的な答えが帰ってきたのには、驚いてしまった。
それもあってから、有名人のように知名度が高く、出歩く時は眼鏡をかけていることが多かった。
「こんなに人気あるんだもん。モテるんだろうなぁー。いいなぁー。」
秋文は、いつも彼女がいるけれど、すぐにら別れる事も多かった。プロサッカー選手だと忙しいから、恋愛は難しいのかな、と秋文は思っていた。
そんな事を考えていると、部屋のチャイムが鳴った。今日は来客の予定も届きものが来る予定もなかったはず……と思いながら、モニターを見る。
そこには、今もテレビに映っている、秋文の姿があった。