分け合う体温
そして私は理人を追い越して、部屋を出た。

そろそろ両親が、仕事から帰って来る時間だ。

案の定、私が1階に降りて行くと、丁度良くお母さんが帰って来た。


「お帰りなさい。」

「あら由乃。ただいま。」

スーパーの手提げを持って、お母さんはキッチンへ向かった。

「何、買って来たの?」

「今日はね、理人が好きな焼肉。」


”理人が好きな”と言う言葉に、ムッとした。

私の方が、理人を解かっている。

なーんて、母親に言っても、笑われるだけなのに。

そんな事を思う私は、既に狂っているのかもしれない。


夕食の準備ができて、私と理人は食卓に着いた。

お向かいさん。

私はいつも、理人の食べている姿を、見る事ができる。

それが、どんなに特別な事なのか、最近知るようになってきた。
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