分け合う体温
その日の夜。

理人は私を、部屋に呼んだ。

「もしかして、夜も?」

「スケベだな、由乃は。」

私は口を尖らせた。

「だって、こんな時間に呼び出されたら、誰だって……」

すると理人は、私の唇を塞いだ。

「親父やお袋に、甘い声を聞かせたい?」

「もうっ!」

私は、理人を弱い力で、ポカポカと殴った。


「痛いよ、由乃。」

勢いで、理人は床に倒れ込んだ。

そして、そのまま私を抱き寄せた。

「えっ……」

「昼間由乃が、俺の初体験聞かせてくれって、言ったよね。」

「う、うん。」

「今、話してやるよ。」

そう言うと理人は、私をぎゅっと抱きしめた。


「理人……」

「ごめん。こうでもしてないと、最後まで話せなくて。」

微かに、理人の体が震えているように思えた。
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