分け合う体温
「今日、夕食の時。高木先生って、出てきただろ?」

「うん。」

「その人が、俺の初体験の相手。」

「えっ!!」


口をポカンと開ける程、驚いた。

年上の女の人っぽいとは、思っていたけれど、まさか音楽の先生!?


「それはそれは、色っぽいお話ですこと。」

「色っぽい?」

「いや、まさか先生を落としたとは。」

「はははっ……」

理人は、力なく笑った。


そして、私を抱きしめる力は、益々強くなった。

「痛いよ、理人。」

「襲われたんだ、俺。その高木って奴に。」


目の前が、真っ白になった。

襲われた?

理人が、先生に襲われた?


「……どういう事?」

私の手に、理人の涙が落ちた。

すると理人は、ぽろぽろとその時の様子を、話し始めた。


「高木先生……十和子ちゃんとは、確かに高1の時に、仲がよかった。」
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