分け合う体温
私達の番がやってきて、二人同時に観覧車へ乗り込んだ。

ゆっくりと上がっていく観覧車。

さっき乗っていたコーヒーカップが、小さくなっていく。


「なあ、由乃。」

「うん。」

「由乃は、高校卒業したらどうするの?」

私は、理人の目を見た。

「……大学に行くよ。」

「どこ?」

「地元の大学。」

すると理人は、深く息を吐いた。

「俺……高校卒業したら、薬科大に行きたいんだ。」

「薬剤師になりたいの?」

「ああ……」


初めて聞く、理人の将来。

「じゃあ、隣の県に行くの?」

「まだ、分からないけれど。」

しばらくの沈黙の中、観覧車は一番上まで来た。

「なーんだ。離れ離れか。」

泣きそうになるのを、必死に堪えた。

でも泣いちゃいけない。

理人の将来の為にも。
< 46 / 71 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop