分け合う体温
自分の部屋に辿り着いた私は、制服を脱いで、服を探した。

その時だった。

「由乃、落とし……」

突然ドアが開いて、理人と目が合った。

「あっ……」

私は、下着姿だった事に気づいて、急いで前を隠した。

「ごめん。」

そう言うと理人は、タタタッと階段を降りて行った。


後には、顔を真っ赤にした私が残った。

変なの。

弟に下着姿を見られたくらいで、真っ赤になって。

私は、前を隠したその服を着て、ドキドキしながら、階段を降りた。


「理人、お待たせ。」

何事もなかったかのように、私は理人に声を掛けた。

でも彼は、何でもなかった事に、できなかったみたいだ。

「ごめん、由乃。落とし物、届けようと思って。」

理人の手には、私のキーホルダーが握られていた。

「でもよく考えてみれば、由乃が降りて来た時に、渡せばよかったんだよな。ごめん。」
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