分け合う体温
いつも理人を思い出す度、お母さんが寄り添ってくれた。

「理人ね。あっちの家で、うまく暮らしているみたいよ。元気だって。」

「そう。」

お母さんは、私の背中を摩ってくれた。

「由乃。理人との仲を、あんな形で引き裂いてしまったけれど……」

「ううん。姉弟で愛し合っているなんて聞いたら、誰だってああするわ。」


もう、お父さんとお母さんも、責めない事にした。

責めたって、仕方がない。

理人が、戻ってくることはない。


「由乃は、今でも理人の事が、好きなの?」

私は、静かに頷いた。

「そう。理人も一緒みたい。」

お母さんの口から、理人の事が語られる。

「他に好きな女の子、できないみたい。まだ、忘れられないのね、由乃の事。」

お母さんには不謹慎なんだけど、嬉しい。
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