分け合う体温
その後にシャワーを浴びた私は、リビングの鍵と玄関の鍵を閉めて、二階へ昇った。

理人の部屋からは、音楽が聞こえる。

彼が好きな、女性シンガーソングライターの歌だ。


私も彼女の声、好き。

立ち止まって、しばらく耳を傾けた。

その時だった。

理人の部屋のドアが開いて、彼が顔を出した。


「由乃も聞く?」

私達は、いつも一緒。

信じて疑わなかった。

「聞く。」

何も考えずに、理人の部屋の中に入り、彼のベッドに座った。

音楽に身を任せて、体を揺らしていた。


突然だった。

理人が、音楽を止めた。

「理人?」

こっちを向いた理人は、私の知っている理人じゃなかった。

「えっ……なに?」

身構えた時には、私の体は理人の腕の中に、すっぽり埋まっていた。

「由乃……」

切ない声で、名前を呼ばれ、私は理人のベッドに、押し倒された。
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