分け合う体温
それからは、頭がグチャグチャだった。

分かっているのは、二人共裸で、身体を抱き寄せ合っている事。

そして、理人の「由乃……」と、何度も呼ぶ声。


それが終わった時には、私は茫然としていた。

「由乃、初めてだったんだ。」

途端に恥ずかしくなって、理人に背中を向けた。

理人が、私の背中を摩った。

その優しさに、涙が零れた。

「由乃?どうした?痛かったか?」

私は、首を横に振った。


「急にごめん。でも俺、由乃を抱いた事、後悔してないから。」

頭が、何か当たったように、痛い。

「嬉しかったよ。由乃。」

理人は、私を後ろから抱き寄せ、右手で私の胸を包んだ。


私は、涙を押し殺した。

なんで?

どうして?

こんな事が起こるの?


そう。

私はこの日の夜。
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