あるパン工房より
「僕には十人の妹(のようなもの)がいる」

暗く沈むような黒板の前で至極真面目な顔をして語った。
翌日それを聞いたクラスの女子からは僕の存在が消え失せていた。

「僕には八人の弟(のようなもの)がいて、毎晩一緒に寝ている」

それを聞いたクラスの男子たちは僕を非人類(変態)と認識したらしい。
翌日から「よく思い付くものだ」と感心するほどレパートリーに富んだイジメにさらされることとなった。
これが今日に続く状況の発端だと説明すれば、だいたい僕の学校での立場がわかるんじゃないかと思う。

なにが悪かったのかといわれれば、入学式終わりのクラスで行われた自己紹介で先に語ったことを口から吐き出してしまったこと以外にはないだろう。

でも仕方ないじゃないか。
だって本当のことなんだから。
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