裏側クリスマス
…人生初の告白に、只今困惑中であります。
…私があたふたしてるところを見て、フッと軽く笑って「冗談だよ」なんて言うかと思いきや。
「ちゃんと考えておいてね」
…真剣な瞳でそんなことを言われてしまったら、もう本当に逃げ道はない。
そしてそれと同時に、私の体温はかつてないほどの高さになった。
「赤くなってるの、可愛い」
「…!」
「あ、また赤くなった。可愛い」
ど、どどど、どうしたの、栗栖くん!
前まではそんなこと言わなかったというか、片鱗も見せなかったのに!
「告白したからには、もう気持ち知られてるし、思ったこと言っていいかなって」
「エスパー!?」
「うん、そうかも。俺、増田さんのことになると、エスパーになれるのかもしれない」
いつも、栗栖くんの勝ち誇ったような笑顔しか見たことないから、こんな風に無邪気な少年みたく笑うのは、少しズルい気がする。しかも、このタイミングで。
…今まで栗栖くんのこと意識してなかったのに、こんなの、急に意識しちゃうじゃん。
「わかってるよ、今まで意識されてなかったことくらい。だから、今からでももっと、意識してよ」
「…っ!」
「ん、いいね、それ。その真っ赤な顔。可愛いし、何より、その顔にさせたのが俺っていうのが、すっごくいい」
…新しい栗栖くんの一面を見たと思ったら、すぐにいつもの栗栖くんに戻ったけど、きっとあの笑顔は見間違いなんかじゃないはず。
…それと断じて、顔は赤くない。体温が高いだけで。
何だか甘い栗栖くんには、要注意…。