裏側クリスマス
「で、来る?家?」
「…!」
…さすがにそれが、『どういう意味』を表すのか、鈍感で定評のある私でもわかる。…アブナイ匂いを思わせるような笑み。
「顔、赤いよ?何想像してるの?」
「…っ」
「もしかして…そういうこととか?」
「なっ、違う」
「別に俺、『そういうこと』としか言ってないけどね。本当に何想像したのかな~。してほしいこと想像したとか?言ってごらん」
カマかけられた。
…絶対わかってやってる、栗栖くん。
栗栖くんのイメージが、爽やかイケメンくん…から、小悪魔くんになってってる。
…化けの皮が剝がれたみたいな。…みたいなじゃないか。
「絶対言わない」
「まぁまぁ、そう仰らずに…」
「仰る!」
「使い方違うよ、増田さん」
こんなときにまともなツッコミ入れなくていいから!
「で?結局来るの?」
「行かない」
「え~。おいでよ」
「行かない」
ここで折れたら負けだ。
こんな人について行くほど、私の警戒心は薄くない。
家で一人の方がきっといい。
「家に一人って、寂しくないの~?」
「…ない。慣れた」
いつものことだし、もうどうでもいい。