今夜、色のない君と。
本屋の絵
「じゃあ今から言うとこ写とけー。今度のテスト範囲の重要なポイントだから。教科書34ページから──」
高校生最後の年。
いつもと変わらない日常。
いつもと変わらない教師の声。
教室の窓から見えるいつもと変わらないグラウンドの風景を見ながら、
僕は昨日読んだ小説の内容を思い出していた。
なんのきっかけもなしに、ただ目に止まったから買っただけのその小説は、普段僕が読むミステリー小説や推理小説とはかけ離れていて、
10代の女の子がイケメンな同級生に恋をし、目の前に立ちはだかる問題を次々に乗り越え、最終的に2人は結ばれるという、
女子中高生が好きそうな恋の物語だった。
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