今夜、色のない君と。


「…いや、でも全部食べなよ。おまえ前に栄養失調で倒れたことあんだろ」


「これだけで倒れないと思うけど……じゃあ俺食ってるから緒都行けよ」


「いいよ一緒にいるから。本読む」



僕はもう一度座り直して、持ってきていた本を開いた。



「…緒都ってなんだかんだ言って俺の事好きだろ?」


「うるさいなさっさと食べなよ」


「はいはい」



はぁ……。



屋上のフェンスに身をあずけて、僕は本の世界に入っていった。



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