今夜、色のない君と。
それでもやっぱり秋野さんのその気持ちは嬉しいので、ありがたく受け取っておいた。
「あの、昔の友人さんにもお礼言っといてください」
「そんなそんな。彼もそれいらなそうにしてたからさ。それに彼は京都に住んでるからね。もう会う機会もないかも」
僕が何気なしに、礼儀として言った一言で、まさかの情報が今飛んできた気がする。
「え……京都?…秋野さん、昨日京都に行ってたんですか?」
「そうだよ。新幹線でね」
「え、一体、なんの御用で……」
思わずそう聞いてしまったけど、これは仕方ない。
急に僕に店番を任せたと思えば、その間に秋野さんは京都で友人に花火を貰っていたんだから。