今夜、色のない君と。
……いかん、武者震いが…。
「……はぁ。花夜迎えに行こ」
秋野さんに恋人がいようがいまいが秋野さんの勝手じゃないか。
頭の中にある疑念をとっぱらって、僕は外に出て、花夜が待つ空き家に入った。
「花夜〜?お待たせ。来たよ」
今にも底が抜けそうな所を歩いているから、ギシッと音はなっても、花夜の返事がない。
「…花夜?……緒都だよ。どこにいるの?」
「緒都くん」
すると、僕の後ろから花夜の声がしたので振り返ってみると、花夜が僕を見つめながら立っていた。
「なんだ。いるなら最初に返事して」
「…うん。…ごめん」
「……花夜?」