今夜、色のない君と。



……いかん、武者震いが…。



「……はぁ。花夜迎えに行こ」



秋野さんに恋人がいようがいまいが秋野さんの勝手じゃないか。


頭の中にある疑念をとっぱらって、僕は外に出て、花夜が待つ空き家に入った。



「花夜〜?お待たせ。来たよ」



今にも底が抜けそうな所を歩いているから、ギシッと音はなっても、花夜の返事がない。



「…花夜?……緒都だよ。どこにいるの?」


「緒都くん」



すると、僕の後ろから花夜の声がしたので振り返ってみると、花夜が僕を見つめながら立っていた。



「なんだ。いるなら最初に返事して」


「…うん。…ごめん」


「……花夜?」



< 109 / 156 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop