今夜、色のない君と。
光世と別れてから電車を下り、駅から出た。
この駅は最近改装されたばかりで、木材が無駄なく使われている綺麗な駅だけど、
もともと利用客が少ないので、今でもこじんまりとしている。
僕がこれから向かおうとしている本屋も同じだ。
アンティーク風な、ちょっと不思議で綺麗な本屋なのに、利用客が少ない。
書店に置いてある本もどれも有名な小説家が書いている本ばっかりで、掘り出し物も沢山あるだろうに。
まあ僕にとってはそこが気に入ったんだけれども。
いくら素敵で理想的な本屋でも、人間が沢山いてもらっちゃ困る。
本の争奪戦になりかねないし、人間が多くいるところは好まない。
だから僕はこの本屋が好きなのだ。
じゃなかったら学校の帰りにわざわざこんな所まで足を運んだりするもんか。