今夜、色のない君と。
「…どうしたの花夜。ちゃんと聞くよ」
「………」
僕がそう言うと、花夜は唇をキュッとむすんで、一度は僕に目を合わせるけど、またそらした。
「……や、やっぱり、いいや!」
「え…」
「ごめんねなんでもないの。本当になんでもないから」
……嘘つくなよ。
無理してるのなんて見え見えだし。
僕が無理に目を合わせにいっても、嫌でも合わせようとしない花夜の顔を、僕は持っていた花火を落として両手で包み込んだ。
「……本当になんでもないの?」
「だ、だからなんでもないって…」
「じゃあどうしてさっきからずっと右手を隠してるの?」
「……っ」