今夜、色のない君と。
さっきからずっと僕に見えないように背中に隠している花夜の右手。
気づいてないとでも思った?
「見せて」
「……っ」
「花夜」
僕が花夜の目を真っ直ぐ見てそう言うと、花夜は静かに僕に右手を差し出した。
それを見た瞬間、僕は一瞬固まった。
「……花夜、これ…」
「ちょっと……ドジっちゃった」
花夜の右手は、ありえないぐらいにふやけていた。
まるで、紙が水で濡らされたみたいに。
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