今夜、色のない君と。


感触も、紙そのものだ。



昨日花夜を触ったときは普通の肌だったのに…。



「…昨日の夜雨降ったでしょ?ここね、雨漏りするみたいで。一応雨がかからない所に避難したんだけど、気づいたら右手がこうなってて…」



昨日の夜の集中豪雨…。


5分ぐらいでやんだけど……そっか。



「…緒都くん、私……やっぱり、ダメなのかな」


「………」


「こんなにリスクがあるなんて、なんか…この世界に拒まれてるみたいで……なんでこの世界に来れたのか、よくわからない……」



花夜の視線が下に落ちる。


僕は花夜の右手を離し、左手を握った。



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