今夜、色のない君と。
「花夜、おいで」
「……え?」
「外に出よう」
僕は下に落ちていた花火を拾い、花夜の手を引っ張って外に出た。
文聖堂の中に入って、入口のところで花夜を待たせると、業務部屋からライターとロウソク、水が入ったバケツを用意して持ってきた。
「外行こう」
ふたたび花夜の左手を握ると、外に出て、テープでくっついている花火を全てバラバラにすると、ライターでロウソクに火をつけ、その後に花夜に一本花火を手渡した。
「ここを持って、こういうふうに向けて」
「……ねぇ緒都くん。これなに?」
疑問だらけっていう顔をしてる花夜に僕は軽く微笑んで、
「ちょっと見てて」
そう言って僕も一本花火を手に持って、それをロウソクに近づけ、火をつけた。