今夜、色のない君と。
僕のとはまた違う形の花火が、次から次へと色を変えて光る。
「緒都くん見て見て!」
「花夜、火の粉気をつけて」
「あ、うん」
それからはずっと無言で花火を見続けていた花夜は花火の光が消えると、さっき僕がしたみたいに使い終わった花火をバケツに入れた。
「すごいでしょ花夜。花火っていうんだよ」
「へぇ〜。これが花火かぁ…。へへっ。すごいねぇ」
…花夜に、笑顔が戻った。
僕は花夜の右手を見た
……昨日の夜は、一人でずっと雨をしのぎながら何を考えていたんだろうか。
雨に打たれて、本当の自分はこの世界に実体で存在することが難しいと、やはり自分はただの紙だったと、
……そう、思ったんだろうか。