今夜、色のない君と。
寂しい雨の音や不気味な風の音を聴きながらそんなことを思うのは、きっととてつもない恐怖と不安でいっぱいだっただろう。
「……花夜。今から大事なことを言うから、よく聞いて」
「……え?」
そんな花夜に、“人間”である僕は何をしてあげられるんだろう。
「花夜にできないことが多くあるっていうのは、悪いことじゃない。
花火がいつか消えていくように、僕ら人間もいつかは消える。それは明日かもしれないし、一年後かもしれない。もっと先の未来かもしれない。
寿命あるものは、必ずそこに危険が伴ってくる」
「……緒都くん」
「いい?
花夜だけじゃない。この世界に拒まれてるみたいって、なんのためにこの世界に来たのかわからないって、そんなの僕だってわからない。
でもそう思うってことは、たしかに今、ここに存在しているってことなんだよ。
……だからね花夜、大丈夫。花夜は、花夜のやりたいように、自由に、堂々と。この世界を生きればいい」