今夜、色のない君と。
2つの小説
それからは、花夜と一緒に花火を楽しんだ。
最後の締めである線香花火は、花夜は最後まで残ったけれど、僕は途中で終わってしまった。
「花夜、ちょっと僕から提案なんだけど」
花火の片付けを全て済ませてから、僕は文聖堂の中で花夜に言った。
「秋野さんには話そう。花夜のこと」
「え……?!」
案の定、花夜は目を丸くして驚いている。
僕も秘密にしといていいんだったら秘密にしときたい。
でも───
「僕はまだ子供だ。花夜をずっと空き家にいさせるのは嫌だけど、僕一人じゃそれはどうにもできない」
あれから考えたけど、花夜を僕の家に連れていく方法も、空き家より居心地のいい場所なんて知らない。